入院して行う検査・治療

冠動脈造影検査、左室造影検査

心臓カテーテル検査の中で、中心的な検査です。
手首、肘、鼠径(太ももの付け根)などの動脈から、局所麻酔(全身麻酔ではありませんので、
意識ははっきりとあります)でシースと呼ばれる管を血管の中に挿入します。


シースの写真

どこの血管から管を入れるかは、患者様の状態によって判断します。患者様の負担や検査終了後の圧迫止血のしやすさ、検査後の出血性合併症が少ないことから、多くは右手首の血管から挿入しますが、手首の血管が細い、血液透析しておりシャントがあるため腕の血管が使えない場合などは、鼠径から挿入することもあります。また、手首からシースを挿入したが、腕や肩の血管が蛇行していて、カテーテルが進んでいかない場合には、無理やり進めてしまうと血管損傷を起こしてしまう可能性がありますので、無理せず他の部位から挿入し直すこともあります。
冠動脈は3次元構造をしていますが、X線画像は2次元の画像であり、正確に評価するために、様々な角度から撮影します。
そのため、カテーテル検査時は動く寝台に寝て頂き、胸の周りをパネルが周り撮影していきます。
心臓は呼吸により上下に動きますので、検査中にこちらから息を吸ったり吐いたりと指示する事がございます。


誰かがカテーテル台に寝ている写真

冠動脈の撮影が終わった後に、最終的に心臓の中(左心室の中)にカテーテルを挿入し、造影剤を流して撮影することにより心臓の動きを観察します。この時、大きく息を吸って止めた状態で撮影し(5-10秒程度です)、造影剤が一気に流れる為、身体が熱くなることがありますが、すぐに治まるので心配はいりません。
多くの心臓カテーテル検査は、これらの検査のみで終了であり、検査時間は1時間前後です。ただし、血管が蛇行していたりしてカテーテルがなかなかうまく操作できなかったり、後に記載する検査も追加したりする場合には、多少時間がかかります。
検査終了後は、管を抜きます。動脈と言う圧力の高い血管に管を入れていますので、しっかりと止血しておかないと、大出血に繋がることがあります。手首や肘から挿入した場合には、空気で圧迫する専用のバンドを巻きます。最初は圧迫感が強いですが、病棟に帰室した後、1時間おきに圧迫を緩めていきますので、最初に圧迫感や痺れがあっても大きな心配はいりません。
痛みが強い場合には遠慮なくおっしゃって下さい。


バンドで圧定している写真

鼠径(足の付け根)から管を挿入した場合には、カテーテル室で管を抜いたあと、10-15分程度、手で押さえて止血をします。その後小さいビンとテープでしっかり圧迫固定し、ベッドに寝たまま病棟に帰室後、安静にしていただいく時間が必要となります。足を動かして固定がずれてしまったりすると、大出血に繋がることがありますので、安静が非常に重要ですが、腰痛を訴えられる患者様も多くいらっしゃいます。その際には、ご自分で動かず、看護師に声をかけてください。足を動かすことはできませんが、身体の向きを変えたり、枕を入れたり、場合によっては痛み止めの点滴をすることもあります。
当院では基本的に圧迫解除は6時間後に行っておりますが、再出血した場合や、圧迫解除予定時間が深夜になってしまう場合などは、圧迫時間を延長する場合もあります。
以上の流れで検査を行います。予定入院で検査する場合には、基本的に2泊3日の入院です。



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