虚血性心疾患とは?
心臓は血液を送り出し、全身の臓器に血液を送ることで栄養や酸素などを供給する人間の臓器の中でも非常に重要な役割を果たしている臓器です。心臓は収縮・拡張を繰り返し、全身へ血液を供給するポンプのような臓器です。 |
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心臓は動く臓器であり、ほぼ筋肉で構成されています。心臓の筋肉(心筋)は、骨格筋(腕や足の筋肉)とは違い、自動的に動いている筋肉です。心臓は全身に血液を供給していますが、心筋が動くためには、自分自身にも血液を供給し、栄養や酸素などを得る必要があります。そのため、心臓は血管に血液を送り出してすぐの所から、自分自身に血液を供給しており、この血管のことを「冠動脈」と呼びます(心臓を上から「冠」のように覆っているためこのように呼びます。)。 |
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この「冠動脈」が狭くなったり、詰まってしまったりしてしまうと心臓は栄養不足になり、その血管が潅流している範囲の心筋の動きが弱ってしまうことがあります。 |
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また、動きが弱くなるまでは至らなくても、運動時など心臓に負担がかかって、心臓にもっと栄養・酸素が必要になった時に、冠動脈が狭くなっているがために十分な血液を心臓が受け取ることができず、胸の痛みや違和感、人によっては息苦しさなどとして自覚されることがあります。 |
狭心症
狭心症の分類には、いろいろな分け方があります。症状の安定性で分ける分類、血管の狭くなり方で分ける分類などがあります。
安定性で分けると、①安定狭心症、②不安定狭心症に分類されます。安定狭心症は運動時に胸痛が出現し、安静にしていると改善するというもので緊急性は高くなく、外来で検査(心臓CT検査など)を施行して、狭心症が疑わしい場合に入院して検査をすることが多いです。 |
① |
胸痛症状が増悪してくる これは単純な痛みの強さもありますが痛む回数が増加したり、今までは坂道や階段を上った時だけ症状が出ていたものが、平地をゆっくり歩いても症状が出るようになってきたときなど、軽度の運動でも症状が出現するようになったりした場合も増悪していると判断します。 |
② |
特に運動をせず、休んでいるとき(安静時でも)胸痛が出たり、心電図検査にて異常が認められたりしている。 |
③ |
心臓の筋肉が傷害されて、血液中に心臓の数値の異常が出ている。 |
不安定狭心症は、心筋梗塞と連続した病態と考えられ、緊急性を要する場合が多いです。そのため、外来を受診され、不安定狭心症と判断された場合には、そのまま緊急入院となり、緊急で冠動脈の検査(心臓カテーテル検査)・治療を施す場合もあります。
血管の狭くなり方で分類すると、①動脈硬化性狭心症、②冠攣縮性狭心症となります。 |
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このタイプの狭心症は、運動時よりも、夜間~朝方の安静時胸痛が多いと言われます。 |
心筋梗塞
心筋梗塞は、狭心症と同じように、冠動脈の病気ですが、狭心症と決定的に違うことは、血管が急激に詰まってしまい、 |
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心筋の一部が壊死することにより、生命の危機にも瀕するような合併症を起こすことがあります。 |
虚血性心疾患の診断法・治療法
冠動脈は大きく分けて3本あります。心臓の左側に2本、右側に1本あり、それぞれが細かい枝を出して心臓全体を栄養しています。この血管を調べる事が、心臓カテーテル検査であり、これにより虚血性心疾患の確定診断が下ります。 |
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また、カテーテル検査は、心臓の中や血管の圧力を測ったり、心臓の動きを見たりする役割もあります。 |
これらの検査を組み合わせ、的確な診断、重症度の判断、最適な治療方法の選択を行っております。 緊急で心臓カテーテル検査を行う場合(急性心筋梗塞や不安定狭心症)には、冠動脈に病変があった場合に、そのまま引き続き治療を行う場合がありますが、予定入院で検査する場合、基本的には検査と治療は別の日に分けて行います。理由としては、造影剤使用量が多くなり、合併症の可能性が若干高くなること、放射線被爆量も多くなることなど、安全面から別の日にしたほうが良いことがあります。また冠動脈の治療をする場合には、手術前に抗血小板剤と言われる、血液をサラサラにする薬を2種類しっかりと飲んで頂いた方が安全に手術ができるため、できるだけ治療の前に薬で準備をすることが推奨されているため、緊急性がそれほど高くない場合は、先に血液をサラサラにする治療を行うことが多いです。 また、検査のみであっても、合併症の可能性は0ではありません。重大な合併症を起こす可能性は極めて低いですが、 |
虚血性心疾患つまり、心臓の血管病(狭心症や心筋梗塞)と診断された場合には、治療が必要になります。
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生活習慣病の方が増えてきており、また我が国は年々高齢化が進んでおります。その中で虚血性心疾患を発症する患者様は非常に多くいらっしゃいます。 |