検査/治療についてのご説明

入院して行う検査・治療



▲ページトップへ



 心臓電気生理学的検査とは、電位を記録する直径2~3mmの電極カテーテルを足や首の太い血管から心臓内に挿入し、心臓の中のいろいろな場所の心電図を記録しながら電極カテーテルを通して心臓を電気的に刺激する検査です。

この検査により不整脈の原因の精査や、心臓のどの部位に電気系統異常がありどのようなメカニズムで起きるのかなどの情報が得られ、さらには患者様に最も良い治療法を明らかにすることが出来ます。

アブレーション治療を行わない場合でも、薬の投与した状態としない状態で誘発試験を行い、不整脈を抑制できる薬物が決定されます。不整脈を抑制する治療が本当に有効なのか正確に評価する事は極めて大切で、生命予後がより改善することが期待できます。


 検査台の上で横になり、心臓の内部へ、4~5本のカテーテルを入れます。通常は、心臓の右側に4本、残り1本を左側か右側のどちらかに入れます。
カテーテルアブレーション治療を行う場合は、更に1本アブレーション用のカテーテルが入ります。
心臓の右側には静脈血が流れておりますので、カテーテルは静脈系の血管を通し心臓の右側に入ります。
心臓の左側には動脈血が流れておりますので、カテーテルは動脈系の血管を通し心臓の左側に入ります。
心臓の右側に入るカテーテルは、右太腿にある静脈から3~4本ほど、右首筋にある静脈から1本のカテーテルを、局所麻酔薬を使い痛みを麻痺させて挿入します。局所麻酔ですので、意識もあり会話もできます。

カテーテルの先端には電極が付いており、そこから電気刺激を流すことによって治療対象の不整脈を誘発します。そのとき、いつもよりも弱い不整脈が生じることも、あるいはより強い不整脈が生じることもあります。より強い不整脈が生じたときには、注射による全身麻酔の上で、電気ショックをかけることもあります。


 アブレーション治療の合併症参照


 稀に、検査時に不整脈を起こしている部位の活動が止まることがあります。伝導の途絶が長時間にわたる場合、治療すべき部位の指標が無くなりますから、後日に日を変えて検査を行うことがあります。
また、必ずしも検査時に以前起きた不整脈が誘発される、あるいは同じ不整脈が誘発されるとは限りません。
もしも誘発されなければ、後日日を替えて検査を行うか、ある程度見通して治療を始めざるを得ないことがあります。


▲ページトップへ





▲ページトップへ




▲ページトップへ



 カテーテルアブレーション(カテーテル心筋焼灼術)はカテーテル(細くて長い管のような道具)を血管内より心臓内へ到達させ不整脈の原因を熱で焼灼することにより治療する方法で不整脈の根治を目標として行います。発作性上室性頻拍、心房細動、心房粗動、心房頻拍、心室頻拍などの不整脈が適応となります。カテーテルを使用しますので、大きな傷を作らずに済み、全身麻酔を必要としないため回復も早く、入院期間も3~4日間で済むことがほとんどです。疾患により治癒率は異なりますが、発作性上室性頻拍や通常型心房粗動では約90%以上、発作性心房細動で約80%以上とかなり高い確率で治癒が期待できます。再発した場合でも再度アブレーション治療を行うことで治癒率はさらに高められます。
近年、アブレーション技術や医療機器の進歩により多くの不整脈がアブレーション治療で治癒可能となってきています。
特に最も頻度の高い不整脈である心房細動は進行性の疾患であり、なるべく早期の段階でアブレーション治療することで治癒率が高くなることが知られています。症状がなく、日常生活に支障がなくても放っておくとどんどん治りにくくなり、将来的に脳梗塞や心不全などの大病の原因になることがあります。

当院では、2017年にカテーテルアブレーションに用いる最新の3次元マッピングシステム(CARTO systemおよびEnsite NavX system)を導入し治療を行っています。
事前に撮影した心臓の3次元画像を取り込むことで、3次元画像を用いながらより正確なアブレーションが可能となりました。



CARTO


aNavX


 また、カテーテルが心臓にどのくらいの力で接しているかが常時測定できる「コンタクトフォースカテーテル」を使用することにより、より安全で効果的な治療が実現しました。



スマートタッチ


タクティキャス


 基本的に、カテーテルアブレーションの入院は3泊4日です。アブレーションを施行している日程は、火曜日・金曜日・土曜日です。アブレーションの前日に入院していただき、2日目にアブレーション治療を行い、3日目術後経過が問題ないことを確認できれば、4日目に退院となります。稀ですが経過中に、入院を延期せざるを得ないこともありますので、少しゆとりを持っていただけるようお願いします。また、右の太ももの付け根(鼠径部)からカテーテルを挿入し治療を行いますが、この鼠径部に術後、しこりが出来ます。このしこりは、カテーテルが通っていた血管の穿刺部をかさぶたが覆うことによって血液が止まり、このかさぶたがしこりとして一時的に残存します。このしこりは通常数週間で吸収され、消失します。

カテーテルアブレーションの治療時間は、疾患によっても変わりますが心房細動で2時間前後です。
多くの不整脈は2時間以内の治療時間となります。


 多くの不整脈がカテーテルアブレーションにより治療可能となってきておりますが、残念ながらどんな不整脈でも確実に治癒できるわけではありません。心臓へ焼灼を行う治療であるため、合併症のリスクもあります。疾患の特徴、自覚症状の有無、患者様の状態など様々な情報を考慮しカテーテルアブレーションの適応を検討しています。また、最終的に治療を受けるかどうかは患者様の意思決定によりますので、主治医とよく相談してください。


 カテーテルアブレーションではX線で体内を透視しながらカテーテルを進めていきますので専用の血管撮影室で行います。疾患により異なりますが、カテーテルの挿入部位は足の付け根にある血管や肩(鎖骨の下)にある血管がほとんどです。局所麻酔の後、足の付け根や肩の血管に針を刺し、電極カテーテルや治療用カテーテルを心臓内へ進めていきます。心臓内の特定部位にカテーテルを留置し、心臓電気生理検査や造影検査を行った後、不整脈の発生源や回路を熱で焼いて治療します。 心臓は中隔という壁によって隔てられ左右に分かれています。足の静脈から挿入したカテーテルは容易に右心に到達します。左心に不整脈の原因がある場合は心房中隔(心房の左右を隔てている壁)に穴を開けて通過させる必要があります(生まれつきこの穴が開いたままの人が10人中1人か2人いますが、残りの多くの人では針を刺して穴を開ける必要があります)。開けた穴は自然に閉じる場合がほとんどで、ごく小さな穴ですので開けたことによる心臓や全身に与える影響はありません。 術中、全身麻酔は不要ですが静脈麻酔により眠っている間に治療を進めることがあります。疾患により、麻酔の影響で不整脈が出にくくなり不整脈の原因がわからなくなる可能性がありますので、局所麻酔のみで手技を行うこともあります。手術時間は1時間から2時間のことがほとんどですが、さらに時間がかかる場合もあります。患者様の状態や疾患により異なりますので、詳細は術前に主治医から説明をよく聞いてください。
術後は、カテーテルを抜去し、挿入部位の圧迫し止血を行います。止血には安静が必要になりますが、長くても翌朝には歩行ができるようになります。止血が不十分だと安静が延長される場合があります。術後翌日に一通り検査を行い、問題ないことを確認の上、術後2日目には退院できる場合がほとんどです。 退院後は、日常生活レベルであれば特に制限はありません。カテーテル挿入部位より出血することがありますので激しいスポーツや肉体労働は1-2週間控えていただく必要があります。退院後も外来に通院していただき経過を確認します。


 心房細動の原因のほとんどは左心房と肺をつないでいる血管である肺静脈にあります。肺静脈で生じた異常な電気信号が左心房へ伝わることで心房細動が起きることが知られています。したがって、肺静脈と左心房の間の電気の通り道を焼灼によって壊すことで肺静脈から左心房に異常信号が伝わらないようにします。このような方法を肺静脈隔離術といい、心房細動アブレーションにおける最も重要な術式です。患者様によっては、肺静脈以外から異常信号が認められ、肺静脈隔離術のみでは完治しない場合もありますので、追加焼灼が必要となることもあります。一般的に、心房細動に対するアブレーションの治癒率は不整脈の進行具合で変わってきます。初期段階である発作性心房細動(心房細動が自然にとまる場合)では約90%、持続性心房細動(心房細動が持続して1年未満)では約70%、長期持続性心房細動(心房細動が持続して1年以上)では約50%です。進行した心房細動ほど、複数回の治療が必要となる場合が多いです。
他のアブレーションと比較して焼灼範囲が広範になりますので、手術直後は心臓内の炎症などが原因で心房細動などの不整脈が出やすくなることがあります。不整脈が出たとしても多くは炎症の改善とともに消失していきます。症状が強い場合などは薬剤を併用したり、電気的除細動(電気ショック)を施行したりして不整脈をとめる処置を行います。


  心房粗動のほとんどは、右心房と右心室の間にある三尖弁の周囲を電気信号が旋回することによって発生します。電気信号は1分間に200~300回というスピードで旋回するため、心拍数が極端に速くなり動悸や息切れ症状が認められます。三尖弁と下大静脈の間に線状の焼灼を加えることで電気信号が旋回できなくなるためアブレーションにより完治が可能となります。
95%以上が1回の治療で完治しますが、まれに再発することもあります。


 上室性頻拍は心電図所見だけでは不整脈の原因部位を完全には判断できません。アブレーション治療の際には、心臓内に複数の電極カテーテルを挿入し、不整脈を誘発したり電気刺激を行ったりして不整脈の原因部位を調べます。代表的な上室性頻拍である房室回帰性頻拍では房室結節内に原因があり、房室回帰性頻拍では心房と心室の間の弁輪部に原因があります。原因部位へ焼灼を行うことで永続的に完治させます。上室性頻拍に対するアブレーションの完治率は95%以上ですが、心房頻拍などの特殊なケースでは治りにくいものもあります。


  原因が心室にある不整脈を心室性不整脈と言います。心室は心臓のポンプ機能を担う部位のため、心室頻拍などは生命に直結する可能性があります。治療の仕方は他の不整脈と同様で、不整脈の原因を調べ焼灼することで治療を行います。心室は心房と比較して心筋が厚く、焼灼の効果は症例によって異なります。また、虚血性心疾患や心筋症などの基礎心疾患がある場合、原因部位が複数個所認められることもあり、1回の治療では不十分な場合もあります。

 カテーテルアブレーションの際に発生する可能性のある病気・身体的不利益のことを合併症と言います。合併症は最大限の注意を払っていてもある一定の確率で発生します。従って、治療の際には治療によって得られる利益と合併症のリスクをよく検討し行うべきかどうか判断しなくてはなりません。
カテーテルアブレーションは安全性の確立された治療法であり、重篤な合併症が生じることは稀ですが起こりうる合併症についてご説明します。


 カテーテルによる心臓や血管への損傷により発生する可能性があります。
心タンポナーデは心筋の損傷により心臓を包む2枚の心膜の間(心嚢)に血液が流出し貯留することで発生します。貯留した血液によって心嚢内圧が上昇し心臓を圧迫することによって心臓が十分拡張できず、全身に血液を送るポンプ機能が破綻します。胸から心嚢内へ針を刺し、貯留した血液を排液する処置や止血処置が必要となる場合があります。



 主に心房細動や左心室に原因のある心室性不整脈などのアブレーションで生じる可能性があります。原因としては左心に留置されたカテーテルに付着した血栓や焼灼部位に焦げなどが血流にのって脳血管を閉塞させると考えられています。術中は抗凝固薬(血液を固まりにくくする薬剤)などを使用し脳梗塞予防を行います。



 心房細動に対して肺静脈隔離術を施行した際に肺静脈の内腔が狭くなってしまう合併症です。術後(数日から数ヶ月後)に息切れ,胸痛,喀血などの症状が認められることがあります。重度の肺静脈狭窄が発生した場合、血管拡張術を行うことがあります。



 食道は左心房や肺静脈と近接しており肺静脈隔離術や左心房への焼灼により食道や食道周囲の神経が障害され発生することがあります。発生頻度は極めて稀ですが左房食道瘻(左房と食道の間に穴が開くこと)は致命的な合併症です。当院では食道温度計を鼻から挿入し食道内に留置することで食道の位置と食道温の測定を行うことで予防しています。挿入の際に抗凝固薬の使用もあり鼻出血が起こることがあります。



 横隔神経は横隔膜を動かしている神経で、心臓に近接しています。心臓への焼灼で横隔神経を巻き込んで損傷した場合に発生します。横隔神経付近への焼灼時にはわざと横隔膜を刺激して収縮させたり、透視で横隔膜の動きを確認することで予防しています。



 洞結節(心臓のペースメーカー)や房室結節(電気信号を心房から心室へ伝えるための中継地点)が焼灼により障害されることで発生します。洞結節や房室結節が障害されると、心臓が動くのに必要な電気信号が心臓に十分流れなくなり、極端に脈がゆっくりになります。重度かつ永続的な洞不全症候群・房室ブロックが発生した際には人工ペースメーカーの植え込みが必要になることがあります。



 主に足の付け根からカテーテルを挿入した術後に発生する可能性があります。動脈の修復が不十分で動脈壁が膨れて動脈瘤となったり、動脈と静脈の間に穴があき閉じなくなってしまう(動静脈瘻)ことがあります。動脈瘤や瘻孔のサイズによっては外科的手術を要する場合があります。



 肩の鎖骨の下にある血管からカテーテルを挿入する際に肺を損傷し発生する可能性があります。肺が損傷され空気が漏れ出て肺が萎んだ状態のことを気胸と言い,肺から出血が起き胸腔内(肺が収まっている部屋)に血液が貯留した状態のことを血胸と言います。気胸・血胸が出現した際には胸腔内にチューブを挿入し貯まった空気や血液を排出する処置が必要になる場合があります。



 アブレーション後は止血目的でカテーテル挿入部位への圧迫や安静が必要となります。それにより,下肢の血流が悪くなり静脈に血栓が生じ,血栓が肺の血管へ飛んでいき肺塞栓症を起こすことがあります。



 焼灼による炎症が原因で術後に胸部の痛みや深呼吸をした際の痛みを自覚することがあります。炎症の消退に伴い症状も消失するため特別な処置は必要としませんが、症状が強い場合は鎮痛剤を数日間使用することで対応します。




こちらには一般的な情報が記載されています。事前に読んでいただくことで、治療への理解が深まると思いますが、アブレーションの治療効果や治療方法は患者様の状態によって異なります。
治療前に担当医よりしっかりと説明させていただきますので何かご不明な点があれば遠慮なくお尋ねください。


不整脈専門外来はこちら


▲ページトップへ



 心臓のリズムが遅くなる病気には、ペースメーカ治療という有効な治療法があります。 薬物治療はある程度の効果は期待できますが、効果が必ずしも安定しないこと、別種の不整脈が起こりやすくなるなどの副作用があります。
長期間にわたって安定した治療効果を得るためには、ペースメーカ治療が推奨されています。特に失神などの重篤な症状がある場合は、薬物治療では危険が大きく、ペースメーカ治療が選択されます。また症状の有無にかかわらず、重症の房室ブロックではペースメーカが必要と考えられています。


 ペースメーカ治療は、電気刺激によって脈拍を調節することで、徐脈性不整脈(以下、徐脈)に伴う疲れやすさや息切れなどの症状を改善させます。ペースメーカ治療は、徐脈を根治するためのものではありません。また、心臓病を予防したり、心臓発作を防いだりすることはできません。 ペースメーカ治療では、ペースメーカからのごく弱い電気刺激を利用して脈拍を正常な状態に近づけ、十分な量の血液を体に行き渡らせることで、さまざまな症状を改善させます。 機械自体は、大変信頼性の高い機械なので、故障、誤認識、誤作動、の危険性は極めて低くなっています。
ペースメーカによる治療では、ペースメーカ本体のほかに、リードと呼ばれる電極を使用します。


 ペースメーカ植込みは局所麻酔下で行います。まず左右どちらかの鎖骨の皮膚を数センチ切開し、皮下にペースメーカが入る小さなポケットを作ります。次に、鎖骨の下を通る太い静脈に、ペースメーカ本体と心臓を結ぶリードと呼ばれる細い導線を挿入します。リードはペースメーカの種類により2本使用する場合と1本だけ使用する場合があります。最後に、リードをペースメーカ本体につなぎ、本体を皮下のポケットにしまい、切開した部分を縫合して終わりです。手術はおよそ1~2時間で終了します。



 合併症を起こさないよう最大限の注意を払って手術を行なっていますが、合併症の発生を皆無にすることは困難です。
ただし手術を必要とする、あるいは後遺症を残すような重篤な合併症の頻度は0。1%未満で、死亡例はほとんど報告されていません。



気胸

リードを血管内に入れるときに、肺に傷を付けてしまい、空気が漏れてしまうことがあります。漏れが尐ないときは数日間の安静のみで回復しますが、漏れが多いときには側胸部よりチューブを入れ、漏れた空気を引く治療が必要となります。数日間の入院延長が必要です。


血胸

静脈穿刺法では、まれに静脈や動脈を貫通して刺してしまうことがあり、その際の出血が胸の中に溜まることがあります。


(ペーシング・リードによる) 穿孔

この合併症はごくまれですが、静脈や心臓の中でリードを進める際に、血管の壁、あるいは心臓の壁の一部をリードが貫通して起きます。



出血・血腫

皮膚を切開し、血管にリードを入れなければならないので、ある程度の出血はやむを得ません。通常はせいぜい10~20cc程度の出血のみで治療は必要ありませんが、血液、肝臓、腎臓に疾患のある患者様では、再手術や輸血が必要となることもあります。


タンポナーデ (心臓の外に血液がたまる)

リードを心臓内に留置する際に、心臓の壁に穴が開いてしまった例が報告されています。穴を塞ぐために外科手術が必要となります。ただし頻度は1/10000以下ときわめて稀です。




手術中にはさまざまな不整脈が起こる可能性があります。必要に応じて電気ショック、足の血管から一時的な電線を追加する、などの処置を行ないます。



血管造影に用いる造影剤でアレルギーを起こすことがあり、きわめて稀ですが死亡例も報告されています。
近年、新しい麻酔薬の開発や高性能な生体モニターにより、安心して麻酔を実施できるようになりました。しかし100%安全とは言えません。麻酔が原因で死亡される症例は10万人に1人と言われています。




ペースメーカー手術で最も重篤な合併症です。ペースメーカーの本体やリードに細菌が付着して感染症がおこると治療は非常に困難で、多くの場合本体やリードを交換しなくてはなりません。本体のみの交換は難しくありませんが、リード交換はしばしば外科手術を必要とし、生命に関わる可能性もあります。手術時に感染を起こさなくとも、身体のどこかに傷がついたときは、そこから細菌が入って本体やリードに取り付いてしまうことがありますので、手術時に問題なかったといって安心はできません。頻度は0。5~2%と報告されています。




手術後にリードの位置がずれてしまい、ペースメーカーが正常に作動しなくなることがあります。
再手術が必要となります。
また、手術に際してリードを傷つけてしまい、リードの交換や新規追加が必要となる可能性があります。



ペースメーカーによる心臓の収縮は人工的なもので、正常の収縮と比較すれば心臓に無理がかかっています。
数年以上にわたってペーシングを継続している患者様では、徐々に心臓の機能が低下し、心不全を生じることが稀にあります。薬物治療やリードの再設置を行ないます。



ペースメーカは電池で動いており、状況にもよりますが、手術後6~10年くらいで電池が消耗するため、その後は本体部分を交換手術することになります。電池寿命となったときには、機械から警報音が出るようになっていますので、医療機関にご連絡下さい。


ペースメーカを埋め込まれた患者さまは、ご家庭・屋外・病院内など、生活上の注意点(避けるべきもの)がいくつかあり、ペースメーカ手帳に記載されております。
安全に関する重要な内容ですので、よくお読みになり生活上注意を払ってお過ごしください。



手術後1~2ヶ月間は、ペースメーカを植込んだ側の腕を肩より高く挙げないよう、植込んだ側の手で重い荷物を持たないようご注意下さい。スポーツは手術後3ヶ月間ほどお控え下さい。


植え込み後、安定期に入ったのちは、年1回ほど外来で機械の状態をチェックします。状況に合わせて設定の変更を行うこともあります。


▲ページトップへ